「MemoriesConcert」-01-
リリカ「姉さん演奏しよー!」
メルラン「ちょっと待ってねー!」
メルラン姉さんの声がするほうに行くとルナサ姉さんが出かける準備をしていてそれをメルラン姉さんが見送るところだった。
ルナサ「リリカ、今日はメルランと二人で演奏してね」
リリカ「え?え?」
ルナサがリリカの髪を撫でるとそのまま出かけていった。
メルラン「行ってらっしゃーい!」
リリカ「ぃ行てらっしゃーい!……噛んだ。」
ルナサはある場所へと向かっていた。
私達姉妹と私達が住んでいる屋敷の主との四人のコンサート会場。
そこは毎年この時季になると花の絨毯が敷かれ、多種多様な彩りを見せる。
ルナサ「昔とここは変わってないね。レイラ、また今年も来たよ。」
そう言って荷物を置くと中から十八番のヴァイオリンを取り出し、音色を奏でる。
リリカは遅れてルナサ姉さんの後を追いかけていた。
リリカ「居た居た!姉さんたらこんなところ――鬱だ…。」
ルナサ姉さんは曲がった事ができなくて、何にでも真っ直ぐな気持ちで向かい合ってきた。
それは四女との家族としての関係にも、幽霊と人間との違いにも。ルナサ姉さんが奏でているのは四女との思い出の曲。
当時は一生懸命で生き生きとした根色をしていた。
今となっては愛しい人との別れを根色が語る。
ミスティア「素敵な曲だね。」
ルナサに向かって声が投げ掛けられる。
ルナサ「…………。」
細い目でミスティアの方を見るがとくにこれといった関心が湧かず、目を閉じ演奏を続ける。
ミスティア「無視された……なら――。」
何か策があるという物言いに対して、何をされてもこの曲は止めない。と対抗心を抱く。
ミスティア「魔法が解けた思い出たち――それは全て悲しい出来事だったの――」
ルナサはミスティアの行動に面食らってしまった。
事もあろうことか私の演奏に詩を被せてきた。
四女に送った曲で、家族以外にこの曲を知る人は居ないはずなのに…。
ミスティア「笑顔を向けあった――あなたと過ごした日々――楽しい思い出は何処へ行ったの――」
即興で演奏に詩を紡ぎ合わせ歌うミスティア。
気が付けば、彼女の歌に心を開き、四女と演奏をしていた頃を思い出していた――。
リリカ「私ってば無力…。」
もどーり